ikeda asako

diary

2020年7月29日(水)

『暮しの手帖』の火

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最新号の『暮しの手帖』が届きました。いつも編集の方の添え文に温かい気持ちになる。

題字を担当している岡本仁さんの連載「また旅。」、今回は奈良美智さんと旅という特別編。開くと、昨年9月の北海道一人旅で訪ねた、飛生芸術祭のTOBIU CAMPで見た炎が飛び込んできて驚いた。あの日、芸術祭のイベントのひとつで、岡本さんと奈良さんがそれぞれ好きなレコードを持ち寄ってのトークショーは、満員で聞くことはできなかったけれど。

自分が撮影した炎の写真と、誌面を照らし合わせながら不思議な気持ちになった。

炎を見ている時は、この連載の題字を担当することも決まっていなかったし、尊敬する奈良さんと誌面でご一緒できるとも思ってもみなかった。心から嬉しい。

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2020年6月4日(木)

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\\\梅/// と表さんばかりに、ピカピカの箱に入って届いた今年の青梅。毎年、お店の梅ソーダ用にたっぷり仕込むため、すっかり韓国生活の歳時記となりました。奮発して上等の無農薬梅を今年は15㎏。去年は灰汁抜きの時間が短かったためか、少し気になる感じがあったので、しっかり水に浸してから作業。韓国の方は飲むためだけではなく、調味料として幅広く梅シロップを使うので、この時期は日本以上にスーパーに梅や梅仕事グッズがずらっと並んでいます。私も倣って、ジョン(チヂミ)のたれを作る時にちらっと入れたり、ナムルや佃煮、時にはみりんのように煮物に使ったりと、欠かせない調味料のひとつとなりました。

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2020年6月3日(水)

民画展「書架の風景」

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ホリムアートセンターで開催中の民画展へ。数年前もここで民画の展示を観たけれど、今回は19世紀後半から20世紀前半の、冊巨里(サッコリ)と文字図に絞った構成となっていた

’冊巨里’とは、本棚はなく本と他のものを一緒に描いた絵、’冊架図’は、本棚に本や文房四宝、陶磁器、花、果物などが描かれたものですが、それらの掛軸/屏風を総称して’冊巨里’となっているようです。

自由な装飾に独特の遠近法、古い文房具、本の綴じ方、色などなど、近くでじっと見ても遠くから構成を眺めても面白い。

’文字図’は、悌・忠・信・禮・義・廉・恥の八文字や、百壽百福を装飾的に描いた屏風が数点展示されていた。

ホリムアートセンターは度々訪れるのだけど、来館者が多くないためゆっくり鑑賞することができる。(施設にとってはいいことではないかもだけど…)昨年12月に観た「高麗時代の写経と同時代の小品陶磁」も素晴らしかったけれどやはり私しかいなくて、「フムー、フムー」「いやー、これは…」「すばらしぃ~」と自由に唸りながら堪能した。

「書架の風景」の後は、花鳥画、山水画と二度テーマを替えながら、今年は民画だけの展示を予定しているホリムアートセンター。日本の民藝好きの友だちにも観てもらいたい。早く韓日の行き来が復活しますように。

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2020年5月29日(金)

庭の部屋

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韓国に移住後すぐに住んだ家は、6年を過ぎようとした頃にAirbnbにしたいからと大家さんに追い出され(!)、二週間ほどで今の家に引っ越し、今年で3年目。がっしりとした3階建てのシェア住宅で、4世帯程が入居しているのだが、私たちの所は大きな庭に面しているので’마당방’(庭の部屋)と呼ばれている。住宅には入口が複数あり、この庭を通るのは真上に住む、母ぐらいの年齢の一人暮らしのご婦人か私たちぐらいなので、その方と仲良く庭を使っている。

これはなんだろう。グミのようでグミではない…

柿の木、菜の花、芍薬、木蓮…今の時期は午前中にムラサキツユクサが可愛いらしく咲き、カササギの鳴き声で目が覚めれば、ここはほんとに都会なんだろうかと不思議になる。雑草取りは都会育ちではない私にとっては癒し効果があるようで、疲れている時ほど無心になって取っている。

90年代に建てられたこの家は、新しいものを好む韓国の方にしてみると「古い物件」なので人気はないのかもしれないのけれど、異国の、少し時間の絶った建具や天井照明は、私たちからするととても魅力的だ。前よりもずっと広くなったのも嬉しい。この家にタイミングよく引っ越すことができてよかったと、窓の外の緑を見てつくづく思う。先日は上階のご婦人から「身体にいいからたくさん食べて」と、育てられたサンチュを袋にいっぱいただいた。

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2020年5月20日(水)

韓国近現代書芸展

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MMCA(国立現代美術館)も再開。距離確保のため、2時間区切りで人数限定の観覧となる。オンラインで事前予約をして向かったのは、徳寿館で開催の「美術館に書:韓国近現代書芸展」。韓国の書芸といえば、金正喜(雅号・秋史)。のびやかで独特の雰囲気をもつ「秋史体」を確立した、朝鮮時代後期の書家の大家。今回の展示にもその秋史の線質を思わせる大胆な作品も多くみられた。書道教室の生徒さんにもお勧めして、足を運んでもらおうと思う。

ミュージアムショップで、昨年MMCA果川館で開催していた「郭仁植 生誕100周年記念展」の図録を購入。(書芸展のは重かったのと、こちらの方に興味が向いたので買わず。) 開催を知っていたら観に行きたかった…。日本でもそうだったけど、アンテナを張っていないと見逃してしまうことがあるので気をつけないと。

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