diary
2017年5月16日(火)
[diary]
早起きをして食堂車へ。
車窓を楽しみながら、クリームチーズと蜂蜜とナン、そしてチャイでイラン定番の朝食。
夕べも話しかけてくれた方々。朝も気さく。
タブリーズの駅に到着。
まずは宿探し。駅からタクシーで向かったのは、バックパッカーがよく利用するという'Guest House Daria'へ。ちょうどシャワー付きの個室が空いていたのでこちらで決定。タブリーズに来た最大の目的である中東最大最古のバザールも徒歩圏内。チェックインしていると上の階からヒジャブを被らず、麦わら帽子を手に持った中華系の女性が降りてきて、ゲストハウスの主人に注意をされていた。ちゃんと守らないとね。
荷物を置いて向かったのは旅行会社。夜行列車で一緒だったイラン人女性が連れてってくれたのでスムーズに到着したけれど、私たちだけでは辿り着くのは困難だっただろうなという場所にあった。女性のお陰で明朝のエスファハーン行の航空券を無事に確保。ほんとに皆さん親切。
こちらがバザール。世界遺産でもあるここは、1000年以上も歴史があり、かのマルコ・ポーロも訪れたとか。絨毯、香辛料、お茶、お菓子、日用品、工芸品等々…なんと店の数は7000にもなるとか。とにかく巨大。
広い広いバザールには所々にチャイ屋さんも。
歩き回ってお腹もすいてきたので、バザールの観光案内所に情報を求めて行ってみると、これまたとてもとても親切な所長さんが、バザール内のお店まで案内してくださった。
薄暗い階段の先に広がる地下の食堂。
縦長の器に入っているじゃがいもや豆、トマトなどは先端が平たくなっている金棒で潰して食べ、スープは別の器に入れてそこにナンを投入。これがとっても美味しかった!ケバブに飽きていたので尚更。後で調べると”アーブ・グーシュト”という家庭料理ということがわかった。
写真を見ると味が蘇ってくる…また食べたい。
バザールを出て散策途中で飲んだ謎のドリンク。街でよく見かけたので試しに飲んでみた。ぬるくて甘い、ほんのり爽やかな黄色の粒粒が入ったドリンク。なんだろう、粒粒が何なのか全くわからない。そしてそんなに美味しくなくて全部飲むことができなかった。これも後で調べると、”ハーケシール”という涼を呼ぶ夏の定番ドリンクと判明。粒粒は花の中の種だそう。
夕食は選択肢なく少々飽き気味のケバブ。
'Guest House Daria'の旅ノートには、過去に宿泊した日本人の方が残してくれた情報がぎっしり。国境をスムーズに超える方法だとか、〇〇は危険だから行かない方がいいとか、よい宿の情報とか。女子同士の楽しそうな旅路から、緊迫した内容まで、まるで短編モノも読んでいるようだった。そしてS氏も先人に続いて旅のことを記していた。
2017年5月15日(月)
[diary]
ホテルの窓からの眺め。
朝食はバイキングで、初見のお料理を全て食べてみたけどどれも美味しい。主食はナンで、イランの特産品でもあるクリームチーズと蜂蜜がついてくる。
この日の夜に乗車予定のタブリーズ行き寝台列車の切符を買いにテヘラン駅へ。あまりにも暑いので、駅前のお店で人参ジュースを飲む。イランにはコンビニエンスストアが存在しないので、小さな「なんでも商店」のようなお店がいたるところにあって、中にちょっとしたイートイン席もあり、人々の集いの場にもなっている。
切符を買った後、ゴレスターン宮殿へ。
18世紀末から20世紀初頭にかけてのカジャール朝の宮殿だったというゴレスターン宮殿は外壁のモザイクタイルがとても美しい。
しかし!建物内部に入ると得体の知れない恐怖感に襲われてしまった…こういうことがたまにある。豪華絢爛で見事な内部なのですが…
宮殿の一角、階段をわずかに降りたところに広がっていた喫茶空間で、粘度の高い真っ黄色のサフランアイスと紅茶で一服。
ゴレスターン宮殿のすぐそばにあるバザール。
タブリーズ行きの夜行列車に乗るために再びテヘラン駅へ。
19時過ぎに発車。外はまだ明るい。
4人部屋を予約。鏡の部分を倒すと上段ベッドが出現。イラン人老夫婦と同室になったため、自動的に私たちが上段を使うことに。廊下のカーペットもペルシア絨毯。
カステラとオレンジジュースが配られた。
車窓に戦車の群れ。
お腹が満たされないので食堂車でケバブセットを食べた。カトラリーの下にあるのはナプキンではなくナン。
目が合えば、いや目が合わなくても近寄って声をかけてくれるイランの方々。この寝台車でも何人の方に声を掛けられたことか。日本語の上手な方もいた。
同室の老夫婦も積極的に話しかけてくれてたけれど、アラビア語かフランス語。英語でわからないと伝えたけれどそれが伝わらないみたいで、ずっと何かを話し続けていた。私たちが持っていたガイドブックを見ながらだったので、多分イランのいいところを紹介してくれていたのだと思う。リンゴもいただいた。
夜中にお手洗いに行くことになっても人に会うかもしれないため、ヒジャブは枕元に置いて23時頃就寝。
2017年5月14日(日)
[diary]
未知なる国、中東・イラン。『地球の歩き方』は他の国に比べてページ数が格段に少なく、ホテルも大手予約サイトに情報は出てくるものの料金が未掲載で、直接ホテルにメールしなければいけないという仕組。イスラムの国なので女性は肌の露出は厳禁、ヒジャブも被らなければいけない。これまで訪れた国とはちょっと違うイランに行ってきました。
利用したのはタイ航空。少しお安すかったのは、香港とバンコクを経由するから。お安い上に香港もタイも行けてラッキー!なんて思う私はちょっとおかしいかな…。
仁川空港10:20出発。ざっと見て搭乗率30%といったところでしたが、香港で団体客がどっと乗ってきてほぼ100%の状態に。
バンコクのスワンナプーム国際空港に着いたのは夕方で、そこからエアポートラインに乗ってマッカサン駅、MRTに乗り換えてアソーク駅へ。この駅周辺のスクンビットというエリアに今夜の宿がある。ここは去年のタイ旅行でも利用したエリアでアクセスがよく、トランジットで一泊にはちょうどよい。サラディーン駅に移動し、お目当ての食堂に行くも閉店で再びスクンビットへ。
タイといえば私の大好物、ドリアンが名物。道端でも普通のドリアンは売っているけれど、イランを前にお腹の調子が悪くなると困るので、上品に近くの大型ショッピングセンター「ターミナル21」でドリアンの高級種「猫山王」を購入(奮発)。軽く食事をした後、ターミナル21からもほど近い、コリアンタウン内にある日本人経営のバー「ブルースバー」を再訪。上品な店内に、先ほど購入したドリアン臭がプオ~ン…ごめんなさい!と言いながらも、「全然臭いませんよ~」と言ってくださるマスターとお客さん…。ほんとかなぁ…。そんなこんなで、二杯目のお酒を飲みながら、私がどれだけドリアンが好きかを熱弁していると、「でもアルコールを摂取したあとは、ほんとにドリアンは控えたほうがいいらしいですよ。」とお隣の方に忠告を受ける。ビールとドリアンは食べ合わせが悪い(亡くなった方もいるとか)ことは知っていたけど、アルコールの全てに注意をしなければいけないのかな。むむ、この後ホテルに戻って食べたいのに、我慢しなければいけないのか…。
お酒に弱い私は、ふらふらになりながら宿に戻り、先ほどの忠告を受け止め朝までドリアンを我慢することに。それにしても、冷蔵庫に入れていても僅かな隙間から香ってくるドリアン臭…!味は大好きだけど、臭いものは臭い。味も臭いも好きではない夫がつらそうな顔をしている。すみませんね。
起床後、朝ごはんの代わりにドリアンを頬張る私。ああ、これこれ、これです…。
フットマッサージやカオマンガイなど、短時間で意外とタイを満喫した我々は、本旅行に向かうため、昨日降り立ったスワンナプーム国際空港へ。再びタイ航空でいざイランの途へ。今回はさすがにアジア人は少なく、当たり前だけど中東の方の搭乗が目立った。興味深かったのは、イスラム教ははお酒厳禁のはずなのだけど、機内のドリンクサービスで、皆ここぞとばかりにお酒を注文。しかも何度も頼んでガブガブ飲んでいらっしゃる!イランの女性もヒジャブを被らず、それどころかタブーであるはずの肌の見えるダメージジーンズやノースリーブなど着ている!なるほど、厳しいイスラムの戒律は国外では「気にしない」のですね。
飛行機を降りたらアライバルVISAの取得へ。まずはイランの保険に加入→証書を持ってVISA代金を支払う→VISA発給、この手続き全て窓口が別な上にそれぞれに待ち時間が発生するので、取得までに2時間はかかった。ようやく出国、宿泊のホテルが迎えに来てくれているはずなのだけど、いない。しばらく探したけれど見つからないので自力でタクシーで向かうことに。
テヘラン市内中心地にある中堅ホテルが今夜の宿。不愛想なフロントの方と淡々と宿泊のやり取り。迎えの約束はきっと忘れているのだろう。私たちも何も言わなかった。
初めての景色、言語、匂い。飛び込んでくる感覚を受け入れる以外に余裕はなく、小さなトラブルをクリアしながら進んでいくのは旅の醍醐味のひとつ。
すでに23時を回っていたけれど、お腹が空いたのでホテル周辺で唯一開いていたお店へ。なんのお店かわからずに取り合えず入ってみたけど、メニュー読めず!お客さんがサンドイッチらしきものを食べていたので、同じようなものを頼んでみた。味はまあまあ。ショーケースに並んでいる具材に´羊の脳みそ´を発見。『地球の歩き方』に載ってはいたけれど、こんなにカジュアルお店にも存在するなんて…。食べてみたい気持ちもあったけれど、バケットに挟む勇気はなかった。
アメリカと国交がないため、マックすら存在しないイランには、独自のファーストフードチェーンや個人経営のお店が多い。コンビニもなく、存在するのは小さな商店。閉店は22時ぐらいなので街はあっという間に暗くなる。日本も昔はそうだったよね。少し羨ましくもなった。
ところで、空港から気になってはいたけど、イランの方からの視線が激しい。観光客がもともと少ない上に、アジア人はさらに目立つよう。慣れないヒジャブを被る私と、黒髪ロングヘア―のオット…。凝視、二度見、振り返りの嵐です。
2017年4月20日(木)
[diary]
韓国を語らい・味わい・楽しむ『中くらいの友だち 韓くに手帖』が創刊されました。
執筆は、在韓日本人、在日韓国人、韓国に関わる面々で、文化を真ん中に語らう新しい雑誌です。
以下、発起人の作家・伊東順子さんの創刊の言葉です。
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『中くらいの友だち』へ
今から二十年ほど前、ソウルで暮らす日本人と在日韓国人で『ソウルの友』というミニコミ誌を出していたことがあります。『ソウルの友』とは、ソウルの友だちであり、ソウルで出会った友だちという意味。今回はさらに踏み込んで、『中くらいの友だち』としました。
「中くらい?」
そうなんです、最高でも最低でもなく、中くらい。時にはとてもカッコイイこともあるが、こいつダメかも……という情けない面もある。でも、長く付き合えば、まあそこそこ良い奴だよね――この雑誌は、そんな韓国のお友だち本です。
創刊を思い立った理由はいくつかあります。
1 まずは、日本では政治やイデオロギー、あるいはスキャンダルで扱われることの多い韓国ですが、そこから少し離れて、文化を真ん中にして語り合いたい。
2 また、ネットの世界からしばし暇をいただき、丁寧に物事を考えるために、紙の本がほしい。
3 売らんがためではなく、自由に書けるメディアがほしい。ならば、自分たちで作ってしまおう。
本書は「同人誌」の形でスタートしました。特定のテーマを決めて分業するのではなく、それぞれが自分の原稿を持ち寄り、一冊の本にまとめました。 執筆者は在韓日本人、在日韓国人をはじめ、家族や仕事の関係などで長く韓国と付き合ってきた面々です。秘めやかなる個人的な楽しみ、心を震わすような感動、あるいは人生観を変えるほどの衝撃体験まで、とても個性ある本ができたと思っています。
韓国を楽しみ、味わい、語り合う。対立を砕いて共感のかけらを集めましょう。驚きと笑いを肥やしに、中ぐらいを極めます。世界中が対立的になっていく中、私たちは友だちを大切にしたいと思っています。
『中くらいの友だち』同人
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グッとくる創刊の言葉、何度も何度も読み返しています。
韓国の先輩方の隅っこで、恐縮ながら私も同人として扉文字で参加しました。
韓国移住前から仲良くしてもらっている、雨乃日珈琲店の斜め向かいの「cafe suッkara」のオーナー、キム・スヒャンさんの伝統野菜料理の話も、90年代から韓国で活動しているミュージシャン、佐藤行衛さんの韓国ロックとの出会いも熱量高くて読み応えたっぷりです。(佐藤さんは会うたびにすごい勢いでロックやレコードについて語るので、陰で「勢いの人」と呼んでいる。)
オットは韓国で出版した『韓国タワー探求生活』の続編を執筆。
ネットでも購入可能ですが、取り扱い書店さんがどんどん増えているようなので、出先で見かけましたらどうぞ「おや?」と気にかけてくださいませ。おすすめは西荻窪の「旅の本屋 のまど」さん。今すぐどこかに出かけたくなってしまうような、心躍る旅本がずらりと並んでおりますよ。
韓国を語らい・味わい・楽しむ
『中くらいの友だち 韓くに手帖』 (皓星社)1000円+税 年三回発行予定
2017年4月12日(水)
[diary]
現在配布中のフリーマガジン『hinagata magazine vol.2』に恐縮ながら私のソウル生活を取材いただきました。特筆すべきは…一昨年、雨乃日珈琲店の5周年記念のライブをしてくれた二階堂和美さんと同じ特集で登場させてもらったこと!大好きなニカさんと誌面で再会ができて感激です。
特集は「彼女のライフワーク」。
表紙は写真家・梅佳代さん撮影のニカさんのピカピカの笑顔。
私は写真家の熊谷直子さんが撮影をしてくださいました。雛形の編集のお二人と熊谷さんが、2月の極寒のソウルで二日間も取材をしてくれたのですが、お三方ともとても楽~な方で、緊張することなく、友達と遊んでいるような感覚で取材を受けることができました。自宅で書いている姿を撮影されるのはちょっと…と思っていたものの、熊谷さんが持っている不思議な魅力に気持ちが変わり、部屋に入ってもらうことに。シャッターを切る音が響く中(フィルムカメラを使う写真家さん!)、自分でもびっくりするぐらいリラックスして書くことができ、なんと作品が完成したのでした。編集の方はそれを´直子マジック´と言っていた…。
その時生まれた作品は、思い出深い大切な作品となり先月の京都個展で展示をしたのですが、熊谷さんは京都にも足を運んでくれて(感激で泣く私…)、ソウル撮影後の私と、作品の撮影もしてくれました。
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『hinagata magazine 』vol.02
発行:2017年3月20日
配布場所:首都圏を中心に全国のショップ、書店、ゲストハウス、カフェ、
コミュニティースペースなど約200カ所で配布。
(代官⼭蔦⾕書店、無印良品有楽町、本屋「B&B」、D&Department(全国11箇所)、
まるごとにっぽん(浅草)、BUKATSUDO(横浜)、ONLY FREE PAPER(渋谷)、
ゲストハウス「Nui」、EDITORY、小日子cafe(台湾)、雨乃日珈琲店(韓国)他)
特集:「彼女のライフワーク」
インタビュー:
二階堂和美(歌手・僧侶/広島県)
F/style(プロダクトデザイナー/新潟)、
ローラ・リウ(雑誌『小日子』編集長/台湾)、
池多亜沙子(書家/韓国)
コラム:
料理研究家・yoyo.「つなぐごはん」、
フードデザイナー・中山晴奈「台湾出産体験記」、
写真家・大森克己「#すべての女は誰かの娘である」、
山伏・坂本大三郎「内なる女性」
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hinagata magazineはウェブマガジン『雛形』のタブロイド版。
地域に移り住んだ若い世代の人々の暮らしや、働き方を追ったインタビューを中心としたサイト、本家『雛形』も読み応えたっぷりなので、そちらもぜひぜひ。
https://www.hinagata-mag.com/