ikeda asako

diary

2020年9月25日(金)

秋夕の花

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秋夕(チュソク)と呼ばれる旧暦のお盆。今年は10月1日です。日本のお中元やお歳暮と同じように、韓国にも贈り物をする習慣があり、今日は書道教室の生徒さんにお花をいただきました。

隙あらば骨董を買ってしまう性分、活ける技術はなしですが、花器に使えるようなあれやこれやは出番を待つように待機中。店に飾る用に活けてみました。

まずは新羅の小壷にはクレマチスを。

二十歳ぐらいの時に銀座たくみさんで購入した錫のミルクピッチャーには신뉴스커스(ハスカスの新種)を。

新羅土器には、설유화(雪柳)、펜타스(ペンタス)、백야(日本名はわからず)などを入れて楽しみました。

花をささっと活けるのが上手な母にLINEをして見てもらったところ、「最高です~」との返信。軽い。ほんとうだろうか。そう言われてもSNSにアップをする勇気などないので、こうして人目につかないブログに書く…。

残りの植物も家で同じように活けました。

目まぐるしく過ぎていく日々の中で、植物であったり、その土地の風習などに触れることで、立ち止まって呼吸を調えられる気がします。来月の展示のことで身体も脳もパンパンだったので、一息つくことができました。

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2020年9月13日(日)

梅雨から秋へ

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写真は8月中旬、雨乃日珈琲店からどしゃぶりを見る。

今年はひじょうに梅雨が長く、8月中旬に明けるまで54日間も続いた。観測史上最長だったそうだ。そのせい(お陰)か、夏にしては過ごしやすい気温が続き、梅雨が明けたら明けたで、既に朝晩は秋の気配でひんやり。夏がとても苦手の秋好きとしてはありがたい季節の流れ方。しかしその後の台風の影響か、頭が痛い。身体もだるく、集中力もない。年中雨ばかりの金沢で育った割に、低気圧の影響で体調を壊したことなどなかったのに。風土の違いによるものなんだろうか。

10月下旬からソウルで展示があるため、制作の山場を迎えているにも関わらず、心身が鉛のように重たく、なかなか集中することができなかったので、懐素の自叙帖で臨書ばかりしていた。狂草を書くことは、今の自分を高ぶらせるのにちょうどよかった。

さて、コロナ。

韓国は「社会的距離確保」の防疫措置を❛2.5段階❜というレベルに引き上げ(なんだか曖昧な数値…)、飲食店営業についても提示されたルールに従わなければいけなくなった。席間の距離、営業時間(21時まで)、ご来店の方のリスト作成(記帳か専用アプリでQRコード読み込み)などなど。私たちのような小さなカフェは大丈夫だけれど、チェーン展開する大手のカフェなどはテイクアウトのみとされ、店内での飲食は厳禁。マスクについては、2.5段階に引き上げられる前から屋内外問わず義務となっているので、引き続き絶対着用。

当然、当店もお客さんが減ったのだけれど、それでもぽつぽつとご来店がある。一口飲んではマスク、一口食べてはマスクという見えないものに気を張る光景に、コロナ禍というのは明ける時が来るんだろうかと不安になった。

先ほど韓国政府から、明日の14日からレベルを❛2段階❜に緩和すると発表があった(0.5ダウン!)。スタッフを雇っているカフェや、夜のみ営業の飲食店など、経済的にダメージを受けているお店に活気が戻ると思うとホッとする。

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2020年7月29日(水)

『暮しの手帖』の火

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最新号の『暮しの手帖』が届きました。いつも編集の方の添え文に温かい気持ちになる。

題字を担当している岡本仁さんの連載「また旅。」、今回は奈良美智さんと旅という特別編。開くと、昨年9月の北海道一人旅で訪ねた、飛生芸術祭のTOBIU CAMPで見た炎が飛び込んできて驚いた。あの日、芸術祭のイベントのひとつで、岡本さんと奈良さんがそれぞれ好きなレコードを持ち寄ってのトークショーは、満員で聞くことはできなかったけれど。

自分が撮影した炎の写真と、誌面を照らし合わせながら不思議な気持ちになった。

炎を見ている時は、この連載の題字を担当することも決まっていなかったし、尊敬する奈良さんと誌面でご一緒できるとも思ってもみなかった。心から嬉しい。

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2020年6月4日(木)

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\\\梅/// と表さんばかりに、ピカピカの箱に入って届いた今年の青梅。毎年、お店の梅ソーダ用にたっぷり仕込むため、すっかり韓国生活の歳時記となりました。奮発して上等の無農薬梅を今年は15㎏。去年は灰汁抜きの時間が短かったためか、少し気になる感じがあったので、しっかり水に浸してから作業。韓国の方は飲むためだけではなく、調味料として幅広く梅シロップを使うので、この時期は日本以上にスーパーに梅や梅仕事グッズがずらっと並んでいます。私も倣って、ジョン(チヂミ)のたれを作る時にちらっと入れたり、ナムルや佃煮、時にはみりんのように煮物に使ったりと、欠かせない調味料のひとつとなりました。

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2020年6月3日(水)

民画展「書架の風景」

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ホリムアートセンターで開催中の民画展へ。数年前もここで民画の展示を観たけれど、今回は19世紀後半から20世紀前半の、冊巨里(サッコリ)と文字図に絞った構成となっていた

’冊巨里’とは、本棚はなく本と他のものを一緒に描いた絵、’冊架図’は、本棚に本や文房四宝、陶磁器、花、果物などが描かれたものですが、それらの掛軸/屏風を総称して’冊巨里’となっているようです。

自由な装飾に独特の遠近法、古い文房具、本の綴じ方、色などなど、近くでじっと見ても遠くから構成を眺めても面白い。

’文字図’は、悌・忠・信・禮・義・廉・恥の八文字や、百壽百福を装飾的に描いた屏風が数点展示されていた。

ホリムアートセンターは度々訪れるのだけど、来館者が多くないためゆっくり鑑賞することができる。(施設にとってはいいことではないかもだけど…)昨年12月に観た「高麗時代の写経と同時代の小品陶磁」も素晴らしかったけれどやはり私しかいなくて、「フムー、フムー」「いやー、これは…」「すばらしぃ~」と自由に唸りながら堪能した。

「書架の風景」の後は、花鳥画、山水画と二度テーマを替えながら、今年は民画だけの展示を予定しているホリムアートセンター。日本の民藝好きの友だちにも観てもらいたい。早く韓日の行き来が復活しますように。

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